BON

古来より日本に伝わる民俗の一つ“お盆”。ご先祖を敬い思う気持ち、自然への畏敬の念、命に対する感謝をもって、未来に夢や希望を託す大切な行事です。盆提灯は、その習わしの象徴として古くから使われてきました。その産地の一つである福岡・八女では、豊富に育つ良質の竹や、職人の手で薄く均一に漉かれる八女和紙を使った提灯の生産が脈々と営まれています。
かったん、かったんと、職人が一枚一枚丁寧に漉き、その手で鮮やかに染め上げる八女和紙。その表情に、一つとして同じものはありません。また、長年培われた経験と勘、知恵を使って巧みに木型を回しながら骨を巻き、糸を張り、紙を貼り合わせて完成する八女提灯の技術は、世界中から高い評価を得てきました。

“BON”は、そんな伝統工芸の手法を根底にしながらも、現代的な表現や新たな素材を加えることで生まれたハイエンドなインテリア照明です。火袋となる紙を、特殊な技法で、重ね、張り、穿ち、独特な陰影を醸しながら、新たな灯りが生まれました。骨材に通したビーズも煌びやかな「HOSHIKAGE(星影)」。内部の光が、色染めを施した和紙の鮮やかな幾何学模様を投影する「TSUKIFUNE(月船)」と「HANASHIZUKU(花雫)」。オリジナルの木型によるぽっちゃりとしたシルエットが、奇妙な存在感を示す「HOTARUBI(蛍火)」。
今、消えつつある日本文化と技術を、未来へ、世界に伝え届けるために、“BON”は生まれました。
歴史ある産地ならではのものづくりに、ほんのりと燈る、柔らかく温かな灯りです。


- DESIGN & DIRECTION
デザイン / 監修 - 堀木 エリ子
和紙作家。京都府生まれ。4年間の銀行員生活を経て和紙商品開発会社へ入社。1987年和紙ブランド「SHIMUS」設立。2000年株式会社堀木エリ子&アソシエイツを設立。「建築空間に生きる和紙造形の創造」をテーマに2700×2100mmを基本としたオリジナル和紙を制作し、国内外のホテルや空港、大学、公共施設などに数多くの作品が設置されている。主な受賞に、日本建築美術工芸協会賞、インテリアプランニング国土交通大臣賞、日本現代藝術奨励賞、京都創造者賞/アート・文化部門など。